富士フィルムの魅力は「フィルムシミュレーション」と言われますが、そもそもフィルムシミュレーションってなに?と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

つまりフィルムみたいに撮れるってこと?



ズバリ!フィルムシミュレーションとは「富士フィルム独自で開発された写真の色味を変えられる機能」のことだよ!
また、富士フィルムの最新機種では18種類ものフィルムシミュレーションが搭載されており、正直どの色味を使えばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。



ずっと富士フィルム使っているけどいまだにどのフィルムシミュレーションを使えばいいのかわからなくて迷うことある…
この記事ではそれぞれフィルムシミュレーション(モノクロは除く)の色味の特徴についても解説していきます。



シミュレーションごとの特徴を学んで実際の撮影に備えよう!
この記事では、
- フィルムシミュレーションの作例
- フィルムシミュレーションとはなにか?
- どの機種にどのフィルムシミュレーションが搭載されているか
という内容をご紹介します!
フィルムシミュレーションの特徴を作例を用いて解説!


まずは作例を用いてフィルムシミュレーションの色味のちがいや特徴について簡単に説明していきます。
Provia/スタンダード


プロ用のリバーサルフィルムのスタンダードタイプ「フジクローム・プロビア」をベースに作られました。
富士フィルムの記憶色が存分に味わえるモードです。
色味の特徴
青空や海は青く、肌色は血色よく、緑はイキイキとした鮮やかな緑に。
コントラストは中庸よりも高めで、あらゆるシーンでバランスの良い「シーンタフネス性」を重視しています。
おすすめシーン
- どんなシーンにも
- ペット撮影
- こども撮影



とりあえずProviaで撮ればナチュラルな写真に仕上がるから、どれで撮るか悩んだときはProviaにしてるよ!
Velvia/ビビット


風景・ネイチャーフォトの定番として愛される色鮮やかなモード。
プロ用超高彩度リバーサルフィルム「フジクローム・ベルビア」というフィルムの色を再現しています。
色の特徴
緑や青は記憶色重視でイキイキとしていて、コントラストは高め。
おすすめシーン
- 風景写真
- 花
- くもり空



ベルビアで特におすすめしたいシーンは曇りの日の風景撮影!
曇りの日でも色が鮮やかになるからぜひ試してみてね!


ASTIA/ソフト


ファッション・ポートレート撮影での使用を想定して設計されたリバーサルフィルム「フジクローム・アスティア」をベースに作られました。
色の特徴
Provia以上Velvia未満の適度な彩度・記憶色
おすすめシーン
- ポートレート撮影
- 子供撮影
- テーブルフォト



ASTIAは空の色がとてもリアルできれいに写るの!!
「空」や「海」を自然な色で撮りたいときにおすすめだよ!
クラッシッククローム


ルポタージュを撮影する写真家からの要望で追加されたモードです。
20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。
色の特徴
シャドウ部は引き締まり、原色は濁りのある渋い発色
おすすめシーン
- ストリート撮影
- 風景写真
- ポートレート撮影
PRO Neg.Hi


写真館で使われていたプロ用ネガフィルム「PRO160NH」をベースに作られました。
光が回っているフラットな光の室内撮影や曇っているときの屋外撮影であっても顔にメリハリを作ることを意識しています。
忠実な写りをするため、リアルカラーにこだわる人におすすめです。
色の特徴
血色重視のProvia・ASTIAとは異なり、「PRO Neg.シリーズ」は肌がナチュラルに写ります。
シャドウ部は引き締め気味で彩度は抑えられています。
おすすめシーン
- 落ち着いた雰囲気のスナップ
- ポートレート撮影
PRO Neg.Std


プロ用ネガフィルム「PRO160NS」をベースに作られました。
作りこまれた光でも諧調を出すため、忠実で軟調な写りです。
色の特徴
発色の傾向はPRO Neg.Hiと同じですが、トーンはやわらかく他社の「ニュートラル」に近い位置づけ。
軟調かつリアルカラーなためメリハリの少ないスッキリとした写真になります。
おすすめシーン
- 強い光でライティングされた室内でのポートレート撮影
- 夜のスナップポートレート撮影
クラッシックネガ


「写ルンです」の中のネガフィルム「SUPERIA」がベースとなって作られています。
クラッシックネガで画角32mm付近のレンズを使えば、まるで「写ルンです」で撮影したような気分を味わえます。
色の特徴
深みのある発色が特徴。
シャドウからハイライトまで色付きがあり、どこかノスタルジーな雰囲気を作り出してくれます。
おすすめシーン
- 悪天候時のスナップ撮影
- レトロチックな被写体



クラッシックネガはどんな日常も「エモい写真」に変えてしまう魔法の色味なんだよ!


ETERNA/シネマ


富士フィルムの映画フィルム「ETERNA」を再現した低彩度・最軟調なフィルムシミュレーション。
色の特徴
特定の色が主張しすぎないように彩度は抑えめに設計されています。
12段もの広いダイナミックレンジを基本設計とし、非常に柔らかい諧調により映画のような色味を実現しています。
おすすめシーン
- 動画撮影
- スナップ撮影



彩度が抑えてあるからか、まるで映画のようなワンシーンになる色味だよ!
エテルナブリーチバイパス


映画撮影で使用されていた「銀残し(=ブリーチバイパス)」を追求した低彩度かつ高硬質なフィルムシミュレーションです。
色の特徴
彩度が低めですが、コントラストは高め。
カラーなのにどことなく半白黒のような写りになります。
作例写真のように、何気ない日常風景もどこか儚く切ない雰囲気の写真にすることができます。
高コントラストですが、黒つぶれしにくいため悪天候時にもメリハリのある写真が撮れます。
おすすめシーン
- 非日常感溢れるスナップを撮りたいとき
- 悪天候時のスナップ撮影
各フィルムシミュレーションの色味比較



色味の特徴についてはなんとなくわかったけど、フィルムシミュレーションごとにどのくらい色味って変わるの?
その疑問にお答えするために、色ごと・シーンごとにフィルムシミュレーションの比較していきます。
色ごとの比較
まずは色ごとにどれだけ色味が変わるのかをクレパスを作例に比較していきます。
タブをクリックしてね!




撮影シーンごとの比較
次は撮影シーンごとでどのくらい色味が変わるのか比較していきます。
青空
タブをクリックしてね!


花(ツバキ・河津桜)
タブをクリックしてね!




人肌
タブをクリックしてね!


いかがでしょうか。
こうやって比較してみるとしっかりと色味が違うことがわかります。
そもそもフィルムシミュレーションとは?
- Q:フィルムシミュレーションとは?
-
富士フィルムのカメラ「Xシリーズ」「GFXシリーズ」に搭載されている独自のカラー設定のことです。
フィルムを選んで撮る感覚で味わえる富士フイルムのデジタルカメラXシリーズの特徴で、色調(色彩の濃淡・強弱)や階調(柔らかさ・硬さ)をコントロールする機能です
引用元:フィルムシミュレーションやアドバンストフィルターモードを使ってスナップを撮ってみよう



これとは別にソニーの「ピクチャーエフェクト」やオリンパスの「アートフィルター」のような機能も富士フィルムには搭載されているんだ(アドバンストフィルター)
フィルムシミュレーションは、通常のAモードやMモードでの撮影で色味を変更できる機能だよ。
フィルムシミュレーション(モノクロ・セピア除く)の一覧
それぞれのフィルムシミュレーションはどんな特徴があるのか表にまとめました。
シミュレーション名 | 特徴 |
---|---|
Provia/スタンダード | 標準的な発色と諧調で人物・風景など幅広い被写体に適します。 |
Velvia/ビビット | 高彩度な発色とメリハリのある諧調表現で風景・自然写真に最適です。 |
ASTIA/ソフト | 落ち着いた発色でソフトな階調でしっとりとした表現に適します。 |
クラッシッククローム | 発色をおさえ暗部のコントラストを高めることで落ち着いた表現に適します。 |
PRO Neg.Hi | コントラストを高めたややメリハリのあるポートレート撮影に適します。 |
PRO Neg.Std | ニュートラルな階調で画像編集に最適です。肌色の質感を再現したいポートレート撮影に適します。 |
クラッシックネガ | 深い色とメリハリのある階調で被写体をしっかりとした立体感で表現します。 |
ETERNA/シネマ | 落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンで動画に適します。 |
エテルナブリーチバイパス | 低彩度かつ高コントラストの独特な発色で撮影できます。動画撮影にも適します。 |
フィルムシミュレーション搭載機種一覧
ここまでフィルムシミュレーションの特徴について解説してきました。
あなたの好みの色味はありましたか?
一般的に「クラッシククローム」や「クラッシックネガ」はカメラユーザーから人気が高い色味です。
クラッシックネガにて
— kotsubu (@kotsubu7) April 7, 2021
FUJIのフィルムシュミレーション。
FUJIを手放せない理由。
クラッシックネガで撮ってみました♫
ちょっと渋くていい感じ…だと思う。
JPEG撮って出し#mountain #高尾山#クラッシックネガ pic.twitter.com/lZBBBei9kc
クラッシククローム,良いです.
— Haruo Inoue (@HareInoue) November 1, 2019
ケラレ気味でキツめな周辺減光もよけいに良いです.
なによりJPEGは優しい. pic.twitter.com/Ds8R7ZsNtn
しかし、カメラを購入する前に注意点があります。
富士フィルムのカメラを買えばすべての色味を使えるというわけではないということです。
カメラに搭載されているセンサーによっては、搭載されているフィルムシミュレーションの種類も異なります。



これまでX-A5を使ってたんだけど「クラッシックネガ」が搭載されてなかったの。
わたしはクラッシックネガが使いたいからX-S10に買い替えたんだ!



クラッシックネガはX-Pro3以降に発売されたカメラにしか搭載されていないんだ。
カメラを買う前に買おうとしているカメラにはどのフィルムシミュレーションが搭載されているかも要チェックだね!
フラッグシップモデル
フラッグシップ(高級機)モデルでは、X-Pro3とX-T4が18種類のフィルムシミュレーションが搭載されています。
ミドルレンジモデル
ミドルレンジ(中級機)では、X-S10、X-T30Ⅱ、X-E4の3機種が18種類のフィルムシミュレーションが搭載されています。
エントリーモデル
機種名 | 合計 | Provia | Velvia | ASTIA | クラッシク クローム | PRO Neg.Hi | Pro Neg.std | クラッシック ネガ | ETERNA | エテルナ ブリーチ バイパス | ACROS | ACROS +Yeフィルター | ACROS +Rフィルター | ACROS +Gフィルター | モノクロ | モノクロ +Yeフィルター | モノクロ +Rフィルター | モノクロ +Gフィルター | セピア |
![]() ![]() X-T200 | 11 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり | あり |
![]() ![]() X-T100 | 11 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり | あり |
![]() ![]() X-A7 | 11 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり | あり |
![]() ![]() X-A5 | 11 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり | あり |
エントリーモデルは11種類のフィルムシミュレーションが搭載されています。
なぜこんなに差があるのかというと、カメラのセンサーがエントリーモデルとミドルレンジとでは別のものを採用しているからです。



エントリーモデルはお値段は手頃だけど、フィルムシミュレーションの種類が少ないのが気になるところだね



もし予算があるならX-Pro3以降に販売されたカメラにすると色味の幅が広がるよね!
Xシリーズでフィルムシミュレーションがフル搭載されている機種
フィルムシミュレーション18種類搭載されている機種は
- フラッグシップ:X-Pro3/X-T4
- ミドルレンジ:X-S10/X-T30Ⅱ/X-E4
2022年2月現在、こちらの5機種のみです。
富士フィルムのXシリーズの購入を検討されている方は、ぜひフィルムシミュレーションをすべて搭載しているこの5機種から選んでみましょう。
この中でもとくにカメラ初心者におすすめしたいのはX-S10です。
以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


まとめ:フィルムシミュレーションの特徴を学び使いこなしていこう!


今回は「フィルムシミュレーション」について解説をしました。
最大で18種類もあるフィルムシミュレーションを使いこなすのは大変です。



わたしも未だに迷いますが、富士フィルムのカメラのおかげで基本的にはレタッチしてないよ!時短になる!
富士フィルムのカメラをお持ちの方は、すべての色味を使って自分好みの色味を見つけてみてください。